CANDY

愛はどんな味でしょうか? Twitter:@to_darui

好きな人には極力会いに行かなきゃいけないという話

 

 

あれはそう、一年前の六月のことでした


アミューズ事務所主催のフェス「Amus fes 2018 ~雨男晴女~」がそろそろ当日を迎えるというころ。


「「プライド」発売記念イベントとしていろんな店舗で高橋優が店長になって名刺を手渡ししてくれて握手も出来ます 」というお知らせをツイッターで見かけたのです

まあまあ売れてきてるのにまだこんな若手みたいな売り方しなくちゃいけないのか、まったく音楽の世界は厳しいもんだなと思いました。

 

わたしは基本的に超在宅型オタクなので今まで生きてきて所謂こういう接触イベント に行ったことがありませんでした。アイドルのリリイベだって一度も行ったことはないし、ポルノなんか既に接触したら殺されるレベルに達しているのでもちろん論外、みんなの握手会レポを家で見て満足してニコニコしているタイプ…

 

そもそも、無闇に推しに近付いてはいけないという古の教えを重んじる古のオタク故、「 好きすぎて会いに行けない 」って自分に言い聞かせてこの話は終わり!って早々に蓋をしたのです。

 

 

それから数日後、「 え?アミュフェスの次の日幕張でそのイベやるの? 」いやいやでもでも……そんな感じでもちゃもちゃしていた優柔不断なわたしに友達が放った言葉がわたしのカチコチに固まった気持ちを緩ませてくれました。


友達「 高橋優は、こうやって直接ファンの顔を見たいからこの企画にオッケー出したんだと思うよ 」

 

この先高橋優がもっともっと大きくなったら、こんな接触イベント絶対やらなくなる。ましてや握手なんて街で偶然高橋優と会って「握手してください!」って言えて高橋優に「いいですよ」って言われないと絶対出来ない、そんなことが起こる確率なんて地球か明日突然爆発してなくなるよりも低い…!でも、でもでも……


そんなこんなで悩みに悩みまくってもはや気持ち悪くなってきていたある日の夜、車の中で「同じ空の下」が流れてきた瞬間なんだか自然とぽろぽろ泣けてきたのです。ちょうど嫌な事とか悲しい事が重なっていてメンタルブレイクしていた時期でもあったのですが、綺麗な歌、綺麗な詞、綺麗な心にガサツいた心が包まれていって……あぁ、私そういえばこの人の曲に救われてるんだったなぁ。

 


「 この曲を作ったひとに会いに行きたい 」

 


私は信じられないくらい緊張しいだし、信じられないくらい口下手だからもしかしたら一言も声を発せられないまま終わるかもしれない…それでもいい、それでもいいから会いに行かなくちゃと思ったのです。

 

想像の中のわたしはめちゃくちゃよく喋れる…

饒舌に自分の気持ちを伝えられてそれを高橋優がうんうんって聞いてくれて、お時間ですというスタッフさんの声に剥がされる。そんなシュミレーションを繰り返してました。

 

 

そして当日


ものすごくいい天気、いやもう炎天下と呼べるような日差しの中で大きな道を一人、痛いと思うくらい心臓がガンガン脈打つの感じながら不安と緊張とわくわくをごちゃ混ぜにしながら、もりもり歩いて向かいました。本当に暑かった。汗で背中がびちょびちょになった。

 

予定を変更して付いてきてくれたお友達と合流して早歩きで高橋優が居ると思われる本屋さんを目指してひたすら前に進み…「たしかこの先の本屋さん」と、なんとなく左を見たら、人集りの向こう側に前日幕張メッセのステージで歌っていた見慣れた眼鏡のその人がいたのです。


「え!?!高橋優普通に居る?!?!」( わたしは驚いたり咄嗟に呼ぶ時も優さんとかじゃなくて「高橋優」なんだなって思ってなんだかじわじわ面白かった )


うわぁ……普通に居たなぁ…って少しドキドキしながら再び外に出て割りとギリギリにCDを購入して、長い列に並んで、自分の番をひたすら待つ時間。不思議とこのとき既に緊張は消えていました。少しづつ進んで行く列、なんだかたまに前の方から「ぎゃあー!」って声が聞こえてきたりするけど…あれ……私これから何するんだっけ……?


……どのくらいその列に並んでいたのか、お店の中に入れた時はもう人間三人分くらい横にスライドしたら高橋店長がいる状態…普通に話ししてる声も聞こえる。めちゃくちゃよく見た。よく見てもどこをどう見ても本物の高橋優だ…どうしよう……

 

「えっ…みんなめちゃ話してるじゃん…どうしようなんにも考えてない…!!」

 

名刺を受け取ったらありがとうございますって言おう、みたいな人間として当たり前のことしか考えていなかったので前に並んでた人が「 秋田キャラバン行きます! 」とか「 私も秋田の……」とか色々話してるのを聞きながら「 えっ、わたし秋田キャラバン行かないしな…どうしよう……」と、とにかく至って冷静にどうしようかと考えてました。


ここまで来てやっと焦ってきたらスタッフさんの「次の方どうぞ~!」の声、

 


これはまずい


自分で自分の足を前に三歩動かしてちょっと伏せていた顔をあげたら目の前に高橋店長が居ました。

 

黒髪で細フレームの眼鏡をかけて、黒目がちな大きな瞳をした見慣れた人がそこにあった。

 

えっ…かっこいい………蔦屋書店の白いシャツに黒いベストという神制服を考えた人に金一封差し上げたい………お肌めちゃ白い…きれい…つるつる……とかなんとか結構冷静に考えてたら高橋店長が両手で名刺を差し出してくれた

 


高橋店長「はい、どうぞ~」

わたし「あっありがとうございます!」


生まれてきてくれて、歌うたいになろうと思ってくれて、ずっと諦めないでいてくれて、続けてくれて、出会ってくれてありがとう…という森羅万象に対しての意味合いで言うつもりだったのに完全に名刺くれてありがとうという意味合いになってしまったのでもうこの辺りでもう無理でした


そんな私は置いといて高橋店長が白くて綺麗な手をスッと差し出してきて、「わ!…本当に………この人に…わたしが……わたしなんかが……触っていいの…?」 と恐る恐る右手を少しだけ出したらそっとぎゅっと両手で包んでくれた。

 

このとき手を高橋店長側に少しだけ引かれた感じがして心臓がちょっと止まったんですけど、え?これ本当に手?やばいもちもちなんですけど…このお手であれやこれや名曲を弾き生み出してるのかぁ…感動…神様ありがとう…距離ゼロ………と神に感謝している間にもどんどん時間は過ぎるしピンチは続きます。

 

「ありがとうございます」って言ったら頭の中にある言葉倉庫が驚くほど空っぽになってしまったのです。

 


これはまずい

 

もう…もう…握手も出来たし…もう…このまま終了していいや……と思ってたその時、高橋店長の目線がわたしのTシャツに向いたのです


高橋店長「えっ?www待って?wwwインターネット嫌いなの?www」

 

このときの 「えっ?www待って?wwwインターネット……」 の言い方、めちゃくちゃに高橋優だったので何とかして世界中のユアノンの皆さんに聞かせてあげたいんですけどわたしの記憶の中だけにしかないんですよ……ははは…

 

 

わたしはこの日

 

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こんなふざけたTシャツを着ていたのですが、白状すると「 これに高橋店長がツッコミを入れてくれたりしたりしないだろうか 」なんて邪な考えを持って着て行ったんです…でもまさか本当にこっちの服装なんか気にしてくれるとは…

 

わたし「あっあっ嘘です本当は大好きです」

高橋店長「アハハハハハハハハハハ」


わたしは…目の前で起きている現実を信じることが出来ませんでした。わたしのボケにあの高橋優が、前歯が、割と大きな声で笑ってくれてる…だと…!?……その現実に動揺しまくって硬直していたら後ろからスタッフさんが私の腰に手を当てて右にスライドし始めました。剥がしが始まったのです。

 

その現実が余りにも衝撃的すぎてぽかんとしていたらよくラジオで聴くような、今まで笑ってたのが嘘みたいな切り替えの速さで高橋店長がまた話を振ってくれました


高橋店長「ライブには来てくれたこととかありますか?」

 

想像上の自分だったら「 あります!昨日のアミュフェスも行きました! 」とか言えるのに現実で言えたのは「 あります! 」だけでした……同時に容赦なく剥がしてくるスタッフさん、少しづつ右に送られていく自分、その間もずっと目を見て手を握ったまま話してくれる高橋店長、手が本当にもちもちだ…目が綺麗だ…

 

そして最後に高橋優は「じゃあ、また来てね」って柔らかく笑いかけてくれたのです。

 

その瞬間ちょっと泣きそうになったのをグッと我慢して、「 はい! 」と返事をして自衛隊もビックリくらいの綺麗なお辞儀をして、震える両手を必死に抑えながら足早にその場を後にしました。

 

こうしてわたしの人生初接触イベントはあっという間に終了したのです。

 

距離ゼロの高橋優、本当に色白だしイケメンだし手が餅?と疑うレベルでもちもちだし、それよりなにより話してる声が低くて耳心地が凄く良いんですよ。自分から話を振れなかった分、たくさんあの良い声が聴けた気がします。お耳のご馳走でした。

 

時間が過ぎていけば過ぎていく程この時の記憶が自分の中で大事で大きなものになっていると実感出来て、現に一年たった今でもこうして鮮明に思い出せるくらい素敵な思い出になっています。

 

もしも、接触イベとかライブとか好きな人に会いに行けるイベントがあって、行くか行かないかで悩んでるひとが居たら是非行ってほしいです。行って後悔することは絶対に無いです。もし自分の言葉で上手く伝えられなくても、一言も話せなくても、会いに行くことに意味があると思います。もしかしたら、気持ちは伝わるかも知れない。

 

その後の人生の大事な栄養源にもなります。

 

 

会いたい人に会いに行きたいと思ったら、好きな人には極力会いに行かなくちゃ。